クローバー♧ハート - 愛する者のために -

凛々しくも、少し緊張した面持ちの悠。

周りの子たちも、同様に顔が強張っている。

着席に、厳かに式が進んでいく。

そして新入生の名前が呼ばれ始めた。そして、悠の番。



「一ノ瀬 悠くん」

「はい」



背筋をピンと伸ばして、元気よく返事をし立ち上がる悠。

本当に、ここまで大きな病気などもせず大きく育ってくれた。

これからも成長して、少年から青年になって大人になって……。

時々反抗してもいいから、元気で育ってくれればいいや。


籍については、私たちは途中で苗字が変わるのは悠が苛められないかなとか

いろいろ考えて、二・三年後にしようかなど相談していた。

だけど、悠がどうせ変わるなら早いも遅いもないよって

入学式前に、私と悠は『一ノ瀬』になった。

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