クローバー♧ハート - 愛する者のために -

わぁ、星が綺麗――。

ここは街中から少し離れているから、街灯は所々あるものの町全体の明かりは少ない。

だから星が綺麗に見ることが出来るって、以前佳純さんから聞いたことがあった。

普段は急いで悠をお迎えに行かなきゃって、空なんてゆっくり見ることなんてないから

悠には申し訳ないけれど、ちょっと得した気分だ。

今度休みの前に日に、小高い公園にでも連れて行ってあげよう。



「陽香」



え……この声、まさか――。

裏口から自転車が置いてある表の通りに出た瞬間、声を掛けられた。

聞き覚えのある懐かしい声に、体が強張る。



「ッ――」



ゆっくり振り返り、その姿を目にした瞬間ヒュッと悲鳴にもならない声が喉を鳴らした。

嘘――どうして、ココが分かったの。なんで、居るの?



「陽香じゃなかったらどうしようって、ビクビクしてたんだ。会えてよかったよ――」


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