クローバー♧ハート - 愛する者のために -
私の頭の中は、パニック寸前。
目の前で裕貴が嬉しそうに話しているけれど、ちっとも頭に入ってこない。
「どうして」「なんで」がずっと頭の中で繰り返されていた。
「陽香?陽香、聞いてる」
「え……あ、いや。裕貴……どうして、ココにいるの?」
動揺しているのを悟られないように小刻みに震える唇を手で隠し、やっとの思いで出せた言葉。
「さっき言っただろう?興信所で調べて、やっと君の居場所が分かったから待ってたって。何度も手紙書いたのに、君からの返事がないから待ちきれなくてね」
興信所――だから誰にも言っていなかったのに、分かったんだ。
それでも、あれから六年も経ってる。
本当に裕貴が私の事を本気で探そうとしたなら、もっと早い時期にココに来ていたはず。
なのに、今更来たのは……何故?
しかも興信所まで使って――。