クローバー♧ハート - 愛する者のために -
「帰って――今更、話すことなんて無いわ」
彼の前を通って、自転車のカギを外した。
「悠」
今、なんて言った?まさか、悠が目的なの?
落とした視線を、裕貴に戻す。
「俺の子供だよな」
「何を言ってるの。悠は……あの子は、私の子供よ」
今度ばかりは、動揺を隠せない。
ハンドルを握る手にギュッと力を込めて、裕貴を睨み付ける。
「俺と君の、ね」
「違う。裕貴は関係――」
「無いなんて言わせないよ。もうすぐ、悠は六歳だろ?俺と別れたのも六年前だ」
凛とした、迷いのない言葉が私を突き刺す。