クローバー♧ハート - 愛する者のために -

「だから、なに?」



自分でも驚くくらい、抑揚のない冷めた言い方になった。



「君が子供を産んだって聞いて、探したんだ」

「だから、あなたの夫婦仲と私が子供を産んだことと、なんの関係があるの?」



イライラする。

院長の孫娘と結婚をするために私を捨てて、子供が出来なくて冷めたから私を探した?

ふざけるのもいい加減にしなさいよ。



「そう喧嘩腰になるなよ。陽香……落ち着いて聞いてくれ。俺は……俺たちは、悠を息子として迎えたい」



なにを言い出すかと思えば――悠を息子として迎えたいですって?

あの時、私がどんなに惨めな思いをしたと思ってるの。

死んでしまおうとすら考えたのに――。

今日までだって、どんな思いで過ごしてきたか……悠と二人で頑張って生きてきたか知らないくせに――。

今更現れて、私から悠を奪おうって言うの?

今度は、私の大切な“命”を取り上げるつもりなの?



「いい加減にしてっ!!」

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