クローバー♧ハート - 愛する者のために -
「あなたには関係ない。早く帰って。そして、二度と来ないで」
病院の玄関のドアを締めながら、冷たく言い放つ。
もう二度と会いたくない。
私から悠を奪おうとするものは、例え悠の本当の父親だとしても許さない。
「陽香。また連絡するからっ――」
彼の声を背中に受けながら、それに応えることなく奥の診察室に向かった。
「悠っ」
ベッドに横になり点滴に繋がれている悠。
そこに心配そうに付き添う、一ノ瀬センセ。
「はるちゃん、大丈夫よ。もう呼吸も落ち着いたし、今眠ってるから」
シーッと人差し指を口元に当て「静かにしてね」と柔らかい笑みを浮かべる。
「ありがとうございます、佳純さん。斎藤先生も時間外なのに――」
「悠くんは孫みたいなものだからね。気にすることないよ」