クローバー♧ハート - 愛する者のために -

ワザとなのか、それとも偶然に鳴ってしまったのか

彼の本心はわからないけど、どちらでも構わない。

自分からふっておいて何だけど、この場で話さなくて良かったと思う。

それに、少しだけ肩の力が抜けた気がした。



「ありあわせで良かったら、何か作りましょうか?」



一人だと思ってたから買い物もしてないし、あまり材料は無い。

けれど、野菜炒めくらいなら出来るかな。



「ホントですか。はるさんの手料理食べれるなんて、幸せです」



大袈裟だなぁ。でも彼の笑顔が見れて、少しホッとした。

さっきまで責任を感じてか、ずっと顔が強張っていたから。

やっぱり一ノ瀬センセは笑顔でなくちゃ、調子が狂う。

熱を出した悠もいるし、私達は足早に家路を急いだ。


そして、ベッドに悠を寝かすと直ぐに料理に取り掛かる。

キッチンカウンターの目の前にある小さなテーブルと二脚の椅子。

そこに行儀よく座っている、一ノ瀬センセ。

でも手持ち無沙汰なのか、ソワソワ落ち着かない。

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