クローバー♧ハート - 愛する者のために -

「あの。良かったら、お弁当作りましょうか?」

「え、そんな。はるさんに迷惑が掛かるんじゃ……」

「そんなの平気です。一人分作るのも、二人分作るのも変わりませんから」



元々一人分を作るのは苦手で、いつも多く作り過ぎてしまう。

話しをしているうちに、目の前にあるお皿の中は一粒残さず綺麗に完食されていた。

悠なら、そうはいかない。直ぐにお腹いっぱいと言って、いつも残してしまう。

だから余り物を自分のお弁当にしたり、夜の晩御飯に回したりすることもある。

量が多すぎると言うのもあるのだろうけど――あの子は小食な方だと、思う。

親としては、もっと食べて欲しいんだけれどな。

生活的にそんなに余裕がある訳ではないから、贅沢なんて出来ないから

出来るだけ残らないようにしたいし、食べてくれる人がいるなら有難い。



「ありがとうございます。じゃ、そのお礼と言ってはなんだけど……もし悩んでる事とかあるなら、はるさんの力になりたい」



一ノ瀬センセの申し出は有難い。

だけど、これは他人の彼を巻き込むことは出来ない。したくない。

だって彼は優しいから、きっと私の味方になってくれる。

でもそれは正しい事なのか――分からない。

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