クローバー♧ハート - 愛する者のために -

『陽香は何も心配しなくていいよ。ちゃんと分かって貰うまで説得するから。ただ、暫く会えなくなるかもしれない』

「分かった。待ってるから」



この子と二人で、あなたの帰りを――。

下腹部を優しく撫でながら、そう伝えた。

次に会った時、ちゃんと紹介するからね。パパですよって。



『すまない』



そう言って通話は切られた。

もし彼がご両親に説得してくれたら、晴れて恋人同士ってみんなの前で言える日がくるかもしれない。

それに、この子と三人で暮らす日も近いかも。

そんな幸せな日を夢見て、ベッドに潜り込んだ。



次の日それは見事に裏切られ崩れ去るなんて、その時の私は思いもしなかった。

< 61 / 303 >

この作品をシェア

pagetop