クローバー♧ハート - 愛する者のために -

もしかして裕貴もそのことを知った上で、この人に頼んだの?

もしそうなら、裕貴本人から聞きたかった。

婚約の事も、子供を堕ろせと言うことも――。

そっと目を伏せ、小さく息を吐いた。



「このお金は、頂けません」



この時、私はある決意をして茶封筒を突き返した。



「君。それはどういう……」

「こんなお金、必要ないって言ってるんです。悲しい人ですね……あなたも、裕貴も。人の気持ち、踏みにじって……お金で解決しようだなんて――」



怒りを通り越して、悲しかった。

どうして、お金で解決しようとするんだろう。

確かに生きていく上で、お金は必要不可欠だ。

だけどそれだけじゃダメ。大切なもの事ほど、話し合うことが何より大切だと思うのに――。

この人たちは、それすら行おうとしない。

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