クローバー♧ハート - 愛する者のために -
「はるさんは……どうするつもりですか?」
彼の澄んだ瞳が、私を捉えて離さない。
まるで、私の真意を確かめるように――。
「渡さないわ。悠は私の命も同然。あの人なんかに渡さない」
「良かった。悠は、はるさんと一緒にいるのが一番だと思うから」
安堵したかのように、強張った顔を崩して微笑む。
そして私より一回り大きな手が、私の両手をとり包み込んだ。
「一ノ瀬センセ……」
「護、です。先生ではなく、護って呼んでください。俺、一人の男として力になりたいんです」
彼は本気だ。
同情などではなく、本気で私のことを想ってくれている。
しかも、悠も含めて――。
そんな彼だからこそ、私の事情に巻き込んでしまっていいんだろうか。
私の昔話を真剣に聞いてくれた。
それだけで有難い。これ以上望んでは、いけない気がする。