クローバー♧ハート - 愛する者のために -
不器用な彼の励ましが、何だかおかしくて思わず笑ってしまった。
けれど一生懸命私に伝えようとしてくれた、一ノ瀬センセの気持ちが凄く嬉しい。
嬉しいはずなのに、目頭が熱くなって視界が歪んでくる。
「は、はるさん?」
「ごめんなさい。これは、違うの……あの嬉しいの。嬉しい、はずなのに……変、ですよね」
止めどなく溢れてくる涙を、何度も拭いながら必死に笑おうとした。
泣きたくなんて無い。どうして、止まってくれないの?
悲しくなんてないのに――。
一人でテンパっていると、ふわっと横から温かくて大きなものに包まれた。
それは紛れもなく、一ノ瀬センセ。
「はるさん、もう一人で抱え込まないでください。俺も、悠も傍にいますから」
彼の優しい言葉に、もう嗚咽を抑えることが出来なかった。
「ふっ……うぅ……」
一ノ瀬センセの腕を両手で握り締め、彼の広い胸に顔を埋める。
それを彼は何も言わず、ずっと抱きしめてくれていた。