クローバー♧ハート - 愛する者のために -
「ハル、急がないと仕事に遅れると思うよ」
悠の言葉にハッとし腕時計を見る。
ヤバい。出勤時間、ギリギリだ。
「え?……わっ、本当だ。一ノ瀬センセ、それじゃ悠をよろしくお願いします。悠、生意気なことばかり言って、センセを困らせないでよ」
「分かってるって、早く行きなよ」
さっきの仕返しと言わんばかりに、手を払うような仕草をして早く行けと促す。
もう、ホント生意気なんだから、誰に似たのかしら。
頬を膨らませつつ、一ノ瀬センセに軽く会釈をして園を出た。
周りのママさんたちは、いくつかにグループに分かれて立ち話をしているけれど
私は、仕事に行かなくちゃならないから軽く挨拶だけしてその場を離れた。
ここのママさんたちは、共働きの人が多いからか
話しに参加しなくても文句を言う人は少ない。
そのあたりも、この幼稚園に入園出来て良かったと思える一因だ。