クローバー♧ハート - 愛する者のために -
立ち向かうべきもの
帰り道。
頭の中には、護くんの言葉が繰り返されていた。
『悠も当事者です。知るべきだと俺は思うんです』
言っていることは分かる。
だけど、この子に理解できるだろうか。
五歳の悠に――。
「ハル、大丈夫?さっきから、いつもに増してボーっとしてるけど」
「あぁ……うん」
心配してくれている悠の言葉にも、上の空。
どうすればいいのか、まだ解決策が見つからない。
悠を裕貴になんか、渡したくない。
だけど、悠に全てを知られるのは怖い。
一瞬、幼稚園での護くんに対しての笑顔を思い出す。
悠は父親が欲しいと思っているのかな。
「ねぇ……もしお父さんが生きていて、悠と暮らしたいって言って来たらどうする?」
「……なにそれ。意味わかんない」