思い出してはいけないこと(仮)加筆修正進行中
Secret1




小学校4年生の時のことだった。



私は事故に遭った。




学校からの帰路、大道路の青信号をなんの躊躇もなく真っ直ぐ歩いた。



信号は青色なんだもの。



渡って当然。




勿論、曲がってくる車には注意した。




低学年の頃、先生に教わったことだ。





なのに、悲劇は起こってしまった。





少し遠く、左方向から車が走る音が聞こえる。



ただ車が走る音が。




特に変わったことでもないし、気にすることもなかった。




ただそれだけのはずなのに、その音は次第に近くなる。





おかしなことだなんてその頃の私には分からなかった。



だから_____



気付いたときにはもう、身体が痛くて、息も苦しくて仕方ながなかった。





小さな体の小学生が大きな車に、それも猛スピードで突っ込んでくる車に当たったら生死に関わる大事故となるだろう。





なのに、私の脈は止まることなく動き続け、重い目を開けば白い天井が見えた。





そこが病院だと知ったのは隣に座る母から告げられてからのこと。




そして、私が一週間眠っていたことも。




辺りを見渡そうにも、首が固定されて動かない。




だけど、沢山の人がお見舞いに来てくれことは確かだった。





枕元に置いてある人形や手紙は__友達、から?







幸いなことに、顔は軽い擦り傷だけだった。




首の捻挫と左足を骨折したものの、ランドセルのおかげで体への衝撃が軽く、他は擦り傷と打撲程度で済んだ。



動けないことに変わりはないが。



運が良すぎた。



普通なら、体が丈夫な大人でも死んでいたかもしれない事故でなのに、小さな子供は死なず、しかもこの程度の怪我だ済んだんだ。




生きていて嬉しいはずなのに、なんだろう、この虚無感。




心にぽっかり穴がいてしまったみたいに何も感じない。




何か大切な物を失ったような感覚。





目尻から伝う涙。




急に泣き出す私に、母は驚きふためいていた。





そして、その虚無感は怪我が治る度に強くなっていった。





無い……………無い……………。




おかしい。




私、学校で何してたんだろう。




私、今までどんなことしてたっけ。




この手紙の子って、誰?




この贈り物、誰から?




母親と父親のことはしっかりと覚えてるのに。




どうしてそれ以外のことが思い出せないの______?




これは病気かもしれない。




そう思って母に相談し、入院していた病院で精密検査を受けた。




脳に異常がないか、ちゃんと調べてもらった。



けれど、検査をしても脳に異常はなし。




お医者さんによると、「事故の外的ショックによる一時的な記憶喪失かもしれない」とのこと。



しばらく様子を見ることとなったが、いつまで経っても思い出すことは出来ず、その後もいろいろな方法を試してみたけど効果はなし。





もしかしたら皆の顔を見れば思い出すかもしれない。






そうして私は退院から一週間半後、再び学校へと登校することとなった。













けれど、何も変わる事は無かった。





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