思い出してはいけないこと(仮)加筆修正進行中
「優那ちゃんの記憶について、お母さんとかは教えてくれなかったの?」
「初めは、両親も私に教えてくれようとしたの。でも、怖くなっちゃって。自分の過去を知ることが」
「確かに知らない自分を知ることは怖いと思う。でも……」
「お母さんとお父さんもね?"優那、怖くても知ることは大切なのよ"って言いながらも、両親自らは教えてはくれなかった」
「今は、どう思ってる?変わらない?」
「今は、思い出したいって思うよ。ここに来て、新鮮なことばかりで、だけどモヤモヤすることもあって……。きっと、そのモヤモヤが、私の記憶に繋がることなんだと思うの。透とのことを思い出して、心が温まったし、なにより嬉しかった」
ここに来て、失敗じゃなかった。
そう思える。
「なら、僕の話も聞いてくれる?」
「うん、何?」
外が少しざわつく中、夕はそっと口を開いた。
「僕もさ、優那ちゃんと会ったことがあるんだ。と言っても、すごく短い間だったけど」
「あれは、小学校2年生くらいの頃かな。山にあるキャンプ場へ家族で来てたんだけど、はしゃいでたら、いつの間にか僕だけはぐれちゃって、ずっと森をさ迷ってたんだ」
キャンプ……覚えている。
家族とキャンプに行ったということは思えているのに、何したのかは憶えていない。
「そんなとき、現れたのが優那ちゃんなんだ。でも、優那ちゃんもはぐれてたみたいなんだけどね」
私も……?