思い出してはいけないこと(仮)加筆修正進行中







「優那ちゃんの記憶について、お母さんとかは教えてくれなかったの?」







「初めは、両親も私に教えてくれようとしたの。でも、怖くなっちゃって。自分の過去を知ることが」




「確かに知らない自分を知ることは怖いと思う。でも……」




「お母さんとお父さんもね?"優那、怖くても知ることは大切なのよ"って言いながらも、両親自らは教えてはくれなかった」




「今は、どう思ってる?変わらない?」




「今は、思い出したいって思うよ。ここに来て、新鮮なことばかりで、だけどモヤモヤすることもあって……。きっと、そのモヤモヤが、私の記憶に繋がることなんだと思うの。透とのことを思い出して、心が温まったし、なにより嬉しかった」





ここに来て、失敗じゃなかった。





そう思える。






「なら、僕の話も聞いてくれる?」






「うん、何?」





外が少しざわつく中、夕はそっと口を開いた。







「僕もさ、優那ちゃんと会ったことがあるんだ。と言っても、すごく短い間だったけど」








「あれは、小学校2年生くらいの頃かな。山にあるキャンプ場へ家族で来てたんだけど、はしゃいでたら、いつの間にか僕だけはぐれちゃって、ずっと森をさ迷ってたんだ」






キャンプ……覚えている。





家族とキャンプに行ったということは思えているのに、何したのかは憶えていない。







「そんなとき、現れたのが優那ちゃんなんだ。でも、優那ちゃんもはぐれてたみたいなんだけどね」






私も……?








< 103 / 128 >

この作品をシェア

pagetop