思い出してはいけないこと(仮)加筆修正進行中
「それで__________あごめん……僕もう行かなくちゃ。この話はまた今度……ね?優那ちゃんも、透のところに行きなよ。お弁当作って待ってると思うから」
「え、あ、うん」
途中で話を止めると、夕は眉を八の字に歪めながらも、急いで教室を後にした。
……気になる。
再び一人になると、一息してから立ち上がり教室を出て透の居る西軍の方へと向かった。
しかし、テント内に透の姿はなかった。
「あの、透……先輩はどこですか」
近くに居た女の人に尋ねる。
「あー、笹野くんなら中庭に行ったよ。って、あなた、さっきの________」
「ありがとうございます」
全てを聞く前にお礼を言い、逃げた。
中庭……中庭……
「あ、いた」
「優那ちゃん、こっちこっち!」
中庭にある、木製のテーブルとイス。
そこに、透と真、そして蒼空が居た。
夕は、別のどこかに行っている。
空いている席は、真の隣か、蒼空の隣か。
蒼空とは、なんだか気まずくて、真の隣に座ることにした。
けれど、それは蒼空の手によって阻止された。
「え」
結局、私の隣には蒼空。
これはこれで良かったかもしれない。
正面に居たら、どうしても視線が合ってしまう。
横に居れば、あまり顔を見なくて済む。
「なんか、お前ら変だな」
透の作ったサンドイッチを食べていると、真がそんなことを言った。
「変なのは優那。俺は普通」
そうかもしれない。
「優那ちゃん、さっきのこと気にしてるんじゃないかな」
「あー、てかあれってアナウンスの奴が勝手に言っただけなんだろ?」
「うん」
「なら、そんなに気にすることないだろ」
「そうなんだけど」
「意外と、お前って面倒くさいやつだよな。思い込みすぎ」
「俺も気にしてないから」
そう言って、そっと私の頭に大きな手を乗せる。
「うん……」
完全に不安が消えたわけではないけれど、そう言ってくれるだけで嬉しかった。