思い出してはいけないこと(仮)加筆修正進行中
そして、体育祭が終わってから2日が経った。
「……で、その景品どうするの?」
ソファで頬杖をする夕が言う。
「夕の好きにすればいいよ。俺は要らない」
蒼空は興味なさげにその券を夕に渡す。
あのあと、表彰され、あるチケットを2種類貰ったらしい。
「一枚は食券1年分。もう1枚は……?」
食券1年分は蒼空たちのメンバー全員が貰ったのだが、もう一つの謎の券は、MVPの蒼空にだけ渡された。
「ミスコン審査権利券&出店物無料券、だって〜」
「なんだそれ」
「来月の文化祭でやるミスコンの審査権利券ねぇ。確かにそんな券貰ってもあまり嬉しくはないね、少なくとも俺達なら」
「そうなんだよね。だから僕が貰っても困るっていうか……まぁ、出店物無料ってのは良いけどね」
「なぁ、その審査って出なきゃいけないのか?」
「こんな券が用意されてるくらいだし、出なきゃいけないんじゃない?あ、小さな字で書いてある。【※この券を授与された人は出店物無料の代わりに、ミスコン審査に出なくてはなりません。】……ねぇ」
「なにそれ、めんどくさい……。代わりに夕が出て。そうすれば出店の食べ物とか無料になるんでしょ?夕には嬉しいことでしょ」
「ま、まぁ……嬉しいけど」
「なら決まり。それはもう夕のものね」
「いいや、さっきも言ったけど、この券本当に授与された人しか使えないみたいだから、僕が受け取ったところで無理なんだよね。だから蒼空に返還しまーす」
「む……」
そんなに嫌なのかな、ミスコンの審査員やるの。
「蒼空、嫌なの?審査するの」
「だって、優那以外の人見て点数つけなきゃ行けないなんてヤダ。優那が出てくれるならいいのに」
「で、出ない!」
そんな、ミスコンになんて私が出るわけない。
出たところで、勝ち目なんてものあるわけないのだから。
「でも、確かミスコンの出場って全校男子の投票で決まるんじゃなかったか?去年も無理やり投票させられた気がする」
投票……?
「あぁ、そういえばそうだったね。ってことは、俺達が優那ちゃんに票を入れて出場させればいいってことだね」
「え……?」
で、でも透たちの票だけじゃ絶対無理だよね。
「いやぁ、今年のミスコンは楽しくなりそうだね」
透の笑顔が輝いている。
本当に楽しそうだ。