思い出してはいけないこと(仮)加筆修正進行中
「白雪姫の案、申請通りました!ってことで今日は役決めをしまっす」
山城くんが前に立ってそう言った。
すると、教室内は一気にこの盛り上がる。
「ただの白雪姫じゃ面白くねーし、"男女逆転"ってのはどうだ?」
「はっ、とういうことはもしかして女装っ_____」
例の西川さんが反応する。
「……意義無しってことで、まずは白雪姫だな。どんどん推薦していって。立候補は無しで」
もうひとりの学級委員の内山さんが黒板に役の名前を書いていく。
私は裏方で。
「私、蒼空くんがいいと思います!」
1人がそう言った。
すると次々に声は上がり、結果として蒼空と夕とでどちらがいいかとなり、多数決で_____
「白雪姫役は七瀬に決定!次は王子約だな。どうせなら、七瀬が指名すればいいんじゃね?あ、勿論女子な?」
やりやすい相手がいいだろ、と山城くんは言う。
蒼空にとって、やりやすい女子って、いるの?
誰なんだろう、と蒼空を見た。
「じゃあ」
すると、蒼空の視線がこちらを向いた。
「え?」
私を見てる……?
まさか、私を選んだりしないよね……?
「優那」
瞬間、教室内はざわつき始めた。
「……」
「優那が嫌なら、別の人にするけど」
なにそれ。
山城くんはニヤニヤしているし、周りは周りで早く答えろと言わんばかりの視線を向けてくる。
もう……
「……嫌じゃない」
「じゃあ___」
「王子役、やります」
断れない。
「ジュリエットは凪宮さんに決定!あとは狩人と_________」
順調に話は進み、翌々日には練習が始まった。
「ああ、なんて美しいお嬢さんなんだー」
「はい、カット!」
台本を片手に、最後の王子様登場シーンの読み合せをする。
王子様、終わりしか出番なくて良かった……。
「はぁ……凪宮さん、もう少し感情を込めて……ね?」
山城くんが、私の棒読みっぷりに呆れている。
「……」
こんなの小学校以来で慣れない。
まぁ、小6の頃もお姫様役を辞退して裏方をやってたんだけど。
「今日はここまでにしよう。続きはまた明日」
放課後、寮には帰らず、夕日が立ち込める教室で台本を眺めた。
何故か目の前には蒼空もいて。
「ああ、なんて美しいお嬢さんなんだ……!」
「肩に力入りすぎ」
「う……だって、こういうの初めてだから。それに、向かい合わせで緊張する」
「上手く出来なかったら、できなかった回数キスするけどいいの?」
「へ?よ、良くないっ」
もう、どうしてそういう事言うの……余計意識しちゃう。
「意識してる?」
「っ!」
図星をつかれて肩が揺れる。
「……蒼空のバカ」
「ほら、早く続き」
ちょっとSっ気な蒼空に、少しばかり酔いそうだ。