思い出してはいけないこと(仮)加筆修正進行中
「キスシーン、だってさ。優那から……」
台本に書かれている。
「振り、でしょ?」
「万が一の為に、口にガムテープ貼っておいた方がいい?」
「いい、大丈夫だから……」
「冗談」
「ねぇ、蒼空」
ふと、あのことを思い出して、話を切り出した。
「ん、何?」
「蒼空と話したいって人が居るの。だから______」
「だから、その人に会って欲しい?」
「うん」
「そう。それって、女子?」
何も言わず、首を縦に振った。
「優那は酷いね」
「そんな……。どうして」
「俺の気持ちを知りながら、他の女子の元へ送り出すなんてさ。それってつまり遠回しに俺を拒んでる?」
眉を下げ、悲しそうな蒼空に胸が締めつけられる。
こんな表情させてしまうなら、あの時きっぱりと断るべきだった。
今更後悔しても仕方ないけど。
蒼空のこんな表情初めてで、旨がギュッと締め付けられる。
……違う。
初めてじゃない。
ずっとずっと胸に引っかかっているもの
まだそれを思い出すことが出来ない