思い出してはいけないこと(仮)加筆修正進行中
やっぱり、ちゃんと花園先輩が自分で言うべきなんだよ……だからちゃんと花園先輩にそのことを伝えなきゃ。
次の日のお昼休み、3年生の教室を覗いて、花園先輩が居るかを確認した。
「あ、いた……!」
あ、この先輩に声をかけて呼んでもらおう。
入口付近に立っていたスポーツ系の先輩に声をかけた。
「あの、花園先輩呼んでもらえますか?」
「ん、いいよ。おーい、花園ー!例の、特別寮の女の子が呼んでるぞー」
やっぱりみんな知ってるんだ。
「あぁ、貴方ね。で、何か用?てか話してくれた?」
「はい、一応……でも、先輩が直接言うべきだと思います」
「あたしが?む、無理よ……」
「ちゃんと自分から誘わなきゃ話してくれないと思います。それに、今そんなんじゃ、いざって時に言えなくなっちゃうんじゃないですか?」
「それは……そうだけど!はあ……分かったわよ。ちゃんと自分で言うわ。でもその為に今日の放課後、蒼空くんを教室に留めておいて」
「分かりました」
あぁ、胸が痛いや。
蒼空は私のこと好きだって言ってくれたけど、私はどうなの?
結局返事はしていない。
自分の気持ちがわからないまま、気付けば放課後だ。
時間が過ぎるのって、なんでこんなに早いんだろう。
「蒼空、私先生に呼ばれてるから、教室で待っててくれないかな」
「ん、わかった」
いけない、夕も連れ出さなきゃ連れ出さなきゃ。
「あ、夕も、呼ばれてたんだった!ほら、早く行こう!?」
「え、ええ?そうなの?」
鞄を持って、まだ良くわかっていない夕の手を引いて教室を出た。
「ごめん、夕。呼ばれてたのは嘘。悪いけど先に帰っててくれないかな」
「………優那ちゃんがそう言うなら帰るよ」
夕が帰っていくのを確認すると、直ぐに花園先輩に直接伝えた。
「花園先輩、教室で待ってます」
「あ、ありがとう。じゃあ行ってくるから。くれぐれも、邪魔はしないでよね!」
緊張した様子で身を縮こませながら私の先を歩いて行った。
これで、いいん……だよね