思い出してはいけないこと(仮)加筆修正進行中
優那の部屋から出てきた真は、料理の並ぶテーブルを目の前に腰掛けた。
「真、優那ちゃんは?」
透が真に尋ねる。
「要らないってさ」
「具合でも悪いのかな」
「……」
蒼空は、相変わらず黙ったままだ。
「僕を先に帰らせたと思ったら、蒼空とは別々に帰ってくるし、何かあった?」
「特にないよ。ただ、俺が先輩と話す様に優那が促しただけ」
「先輩?」
真の眉がピクリと動いた。
「名前は覚えてないけど、3年の栗色の髪の人」
「……あ!もしかして、花園さん?」
透は、優那に聞かれたことを思い出していた。
「あー、確かそんな名前」
「それで、聞いてきたのか……」
「透、何か知ってる?」
「いや、ただ、体育祭の時に突然花園さんを知ってるかって聞いてきたんだよ」
「え、体育祭で?優那ちゃんいつの間に先輩と仲良くなったんだろう」
「体育祭で何かあったのかよ」
「あ、そういえば蒼空、リレーのあと優那ちゃんに告白したよね」
「ごほっ」
真が麦茶を片手にむせる。
「俺に聞いてきたのはリレー……つまり蒼空が言う前だし、優那ちゃんがどこかで花園さんに告白の手伝いをしてくれと頼まれた。それで優那ちゃんはそれを引き受けた。そうしたら、蒼空に告白された」
「ってことは、蒼空が優那ちゃんを好きだってことを知ったのに、その先輩の手助けをすることに罪悪感を感じた、とか?」
「その説が一番近いかもしれないね」
「罪悪感……ねぇ」
「俺のせい?」
「蒼空のせいじゃないよ!ただ、タイミングが悪かったんだよ……ね?」
「そうそう!」
「そっか……」