思い出してはいけないこと(仮)加筆修正進行中
Secret3
翌朝。
「んー、朝……?」
目が覚めると私は部屋にいた。
昨日はソファで2人を見ていて、その後眠くなってそのまま寝てしまった筈なのだけど。
「ワープ?」
なんてあるわけないか。
きっと誰かが運んでくれたんだ。
後でお礼を言おう。
でも誰が……?
時計の針はまだ5時半。
随分早くに起きてしまった。
眠い目を擦りながら体を起こし、おぼつかない足取りのまま、リビングに顔を出した。
キッチンでは、透が冷蔵庫の整理をしていた。
その光景は、まさに主婦そのものだ。
もうだいぶ冷蔵庫の中身は整理されているようだ。
随分前からやっていたんだろう。
早起きだなあ。まるで_____
「おじいちゃん」
「おじいちゃんじゃないから!」
透は、すかさず突っ込みを入れた。
なんて素早い。
「年を取ると早起きになるっていうから」
「まだ現役高校生だから!」
「冗談。手伝うことある?」
「今日はトーストにしようと思ってたから、今は特にすることないんだよね」
「いつもこんなに早くから起きてるの?」
「いつもはもう少し遅いんだけど、目が覚めちゃってさ」
「透は将来シェフでも目指してるの?」
「まあそんなところかな」
「そっか。じゃあ卒業したらそういう専門のところに行くの?」
「そのまま流れて大学に行くかな。ここの大学、そういう専門分野にも優れてるし」
「ここって大学もあるの?」
初耳だ。
「中等部からあるんだ。俺とほかの4人は高校からだけどね」
「えっと、なんだっけ。エ、エス……」
「エスカレーター制?」
「そう、それ」
「エスカレーター制と言っても俺達みたいに高校から入る人もいるし、全員がエスカレーター制に則ってる訳じゃないんだよ」
「悩むね」
「自分が将来何をやりたいのかが重要なんだよね。俺の場合は得意な料理を生かしたい。けど腕なんてそこら辺の主婦程度。だからちゃんとした場所に行って学ぶんだ。まだ、決めきれてないんだけどね」
「そうなんだ。透も、ちゃんと考えてるんだけ」
「まあね。でも、いろいろと大変なんだ」
「大変……」
「家族に反対されそうなんだ。まだ言ってないけど」
「もし反対されても、それが透のやりたいことなら変えちゃダメだからね」
「そうだね、そう言ってくれて嬉しいよ。ありがとう」