思い出してはいけないこと(仮)加筆修正進行中
案内された部屋に荷物を起き、早速準備を整えると、まずは職員室へと向かう。
先生に挨拶をし、説明を受けた後、先生と共に教室に来た。
「名前は凪宮優那です。よろしくお願いします。」
簡潔にそう述べると、ぺこりと頭を下げる。
ふと視線を上げると見覚えのある顔が2人いた。
さっき見たばかりの顔が。
一人は寝ていて、もう一人は飴を舐めている。
「え~、じゃあ…………綾瀬の隣に座ってくれ。あそこで寝てるのが綾瀬だ。ちなみにアイツはいつもあんな感じだから気にするな」
先生も、諦めているらしい。
「……」
「ん……?あぁ、朝の人か。」
椅子を引く音に気付いたのか、彼は目を開け、眠気全開な声を発した。
「……」
「よろしく……?」
首を傾げつつそう言った。
数秒後、彼は再びパタリと机に突っ伏し寝始めた。
少し離れた席からはHR中にもかかわらず後ろを向き、ニコニコとした笑顔を私に送る人がいる。
「水無月!お前また呼び出されたいのか!?」
「あ、すみませーん!」
男の子にしては少し高めの声が教室に響く。
しゃべりからして、絶対悪いなんて思ってないんだろうな。
やっぱり変わった人たちだ。
「全く、綾瀬といい水無月といい……」
先生は教壇の上でブツブツと2人のことブツブツと言い始める。
それも束の間、突然教室の扉が開いた。
「おい蒼空、俺の弁当と間違えてるぞ。ほら、これお前の。で、俺のは?」
さっきの不良みたいな人が、勢い良く教師の扉を開けてきた。
HR中だと言うのな。
周りの生徒は、"またか"とでもいうくらい平然としている。
先生は、歯を食いしばり睨んでいる。
「……鞄の中からてきとうに持っていって」
「はぁ、仕方ねぇな」
ガサガサと鞄をあさり、お目当てのお弁当を見つけると、手に持ったもうひとつのお弁当を置いて教室を出て行った。
「……なんなの」
私は1人だけポカンと口を開けた。
隣に座る彼は、さっきから全く動く気配もなく、安らかに眠っていた。
「はぁ、やはりあそこの寮の奴らはおかしなやつばかりだ」
先生の言う、"あそこの寮"というのは、もしかしたら私が今日から住む"あの寮"なのだろうか。
なんだか嫌な予感しかしない。
嫌な汗を感じた朝のHRであった。
今日という日はまだ始まったばかりだ。