思い出してはいけないこと(仮)加筆修正進行中
放課後
長いと思っていた一日も残りわずかになった。
HRが終わると直ぐに寮へと戻る。
タイミングがいいのか悪いのか、私の真後ろに同じクラスのあの2人がいる。
「ふんふんふ〜ん♪」
「夕、なんで嬉しそうなの?」
「さあ?なんででしょう。ヒントは目の前の人、かな」
目の前の人って、私か。
「目の前の人?ああ、うちの寮に来たんだっけ。で、それが?」
どうでも良さそうな言いぶりだ。
「女の子だよ?女の子。僕達の寮に女の子なんていないじゃん?だから嬉しいなと思って」
「ふーん」
黒髪高身長の彼は実に興味なさげだ。
一方背は低めのパーマのかかった彼は朝みたいにまたニコニコしてる、と思う。
実際、後ろに居るわけだから振り向きでもしなきゃ表情は見えないけど。
「ねぇ、優那ちゃん」
「……」
突然名前を呼ばれて、なんて答えればいいのかわからなくて、とりあえず無視をした。
「無視なんて酷いなぁ」
少し駆け足で彼は私の横へとやってきた。
そして私の顔を覗き込むように話した。
「朝はバタバタしてて挨拶なんて出来てなかったから今するねっ。僕…………」
「うわっ!?」
いきなり肩にズシリとした重みが加わって、隣にいる彼の言葉を遮ってしまった。
「うわぁ、蒼空ったら大胆だなあ。まあどうせ眠くなっただけなんだろうけど」
「な、何!?」
私達はその場で立ち止まった。
重くはないけど、何故か私の首には腕が絡んでる。
「……眠い」
「はいはい。でも優那ちゃんが困ってるから離してあげなよ。それに、寝るなら寮で寝たほうがゆっくり寝られるでしょ?」
「意外と丁度いい高さ……」
丁度いい高さって………。
ついさっきまでは私になんて興味無いですって感じだったのに。
眠そうな彼は渋々私から離れ、私達は再び歩き出した。