思い出してはいけないこと(仮)加筆修正進行中
そのまま境内を出て、夕達の元へと戻った。
「ったく、どこいってたんだよ。しかも、蒼空と一緒とか………」
真は夕と透の元へと戻っていた。
「蒼空ったら、急に一人で行っちゃうからびっくりしたよ~。しかも何故か真が一人で帰ってくるし」
「で、二人は何をしていたのかな?」
透は、いつもより少しだけ低いトーンで話す。
「別に大したことはしてない。ね、優那」
「……うん」
なんだか含みのある答えに、蒼空チラリと見上げた。
「そう。俺はてっきり、暗闇で蒼空が優那ちゃんを無断で連れ出して抱きついたりして、抜け駆けしてたんだと思ったよ」
完全にバレている。
「……そんなことしてない。そもそも、抜け駆けとか、そういう決まり無いから」
「無断で連れ出したのは事実だけどな。あの時は本当に焦ったんだぜ?」
「まぁ、決まりはないしそれは自由だけど、嫌がることをするのはダメだからね?」
透に隠し事は禁物みたいだ。
事実、今私は一つ二つ隠し事をしているのだけれど。
それにしても結局のところ、なぜ蒼空は私を抱きしめたのだろう。
怖かったから……?
でも、違うと言っていた。
一人であそこまで来るくらいだから、怖くはないのだろう。
____ここ最近、ちょっとした疑問が多い。
4人に対してのもあるけれど、時折脳内に浮かぶ知らない記憶についてもある。
4人には、直接はっきりと疑問を投げかけられたわけではないけれど、何かと謎めいた言動が多い気がしなくもない。
訊けば、その度にはぐらかされる。
深く追及するつもりはないけれど、なんだかモヤモヤする。
「はぁ……怖かったけど、何も出なかったのが少し残念だったなあ」
夕が口を尖らせる。
「なにか出てこられても、困るけどね」
5人で、真っ暗な境内を見回した。
神社……か。
昔、近所の古びた遊んだことがあったなあ。
___あれ、遊んだことあったっけ?
確かに、家の近くに小さな神社はあったし、お参りはしたことある。
だけど、遊んだことなんてあっただろうか。
ほらまた、知らないことだ。
本当に、本当に思い出しつつあるのかもしれない。
もしかしたら、この4人と関係があるのかもしれない。
そんなことを思い始めた。
「優那、ぼーっとしてどうしたの。もう帰るけど」
他の4人が屋敷への帰路に着こうとするなか、一人だけ神社をみつめたままの私に、蒼空が声を掛けた。
「ううん、なんでもない。……なんでもないはずなんだけど」
「ん?」
「……………なんでもないの、かな」
すっきりしないことだらけで、気が滅入りそうだ。
そう思いつつ、神社へ向けていた視線を皆の元へ戻した。