思い出してはいけないこと(仮)加筆修正進行中
「あ、いけない。"あのこと"伝え忘れちゃったわ。まぁ、大丈夫よね。
理事長は、歩きながら思い出し、呟いた。
しばらくすると、エアコンは無事に再可動した。
「んー!涼しい」
「快適過ぎて申し分ないな、こりゃ」
コンコンコン
再び扉をノックする音が聞こえた。
「また理事長かな」
蒼空が言う。
「げ、さっきのって理事長だったんだ」
夕はあからさまに顔を歪めた。
「俺が出てくるよ」
透は、椅子から立ち上がると、玄関に向かう。
けれど、それはすぐに阻止された。
なぜなら__________
「やっほ〜、皆元気にしてたー?」
一人の男の人がリビングのドアを開けてやってきた。
誰?
なんとなく、透に似ている気がするけど。
「葵兄ちゃん!なんでここに!?」
葵兄ちゃん……………もしかして、前に話していた、透のお兄さん?
「やぁ、愛しの弟よ。元気にしてたかい?」
「そんなことより、なんで来たかって聞いてるんだけど」
「お盆休みだからに決まってるじゃないかぁ!」
「はぁ、来るなら連絡してよね、全く」
「透は冷たいなあ」
「葵くん、またかっこよくなった?」
夕は、透のお兄さんが来たことに興奮していた。
「ふふん、夕は見る目あるね〜。あ、真、またピアスの穴開けたのか」
「1個開けただけ。穴は2個だし、普通だろ」
「そりゃそうか」
「兄ちゃん、お茶でも飲む?」
「おう、貰う貰う。…………って、ん?蒼空の隣に居る子は誰だい?」
顔を近づけまじまじと見つめるもので、一歩後ろに引いてしまった。
「凪宮優那です」
「ああ、もしかして新しい子!?俺は笹野葵。透の兄で、大学1年生。ちなみに、去年までこの寮に住んでました!」
去年までここに……
「優那ちゃん、この人にはあんまり近づかないでね」
「うっわー、酷い。…………それにしても、君の顔どこかで見たことある気がするんだよね。うーん、どこだったかな」
私はあなたのことなんて知りませんけど。