思い出してはいけないこと(仮)加筆修正進行中
「兄ちゃんが、優那ちゃんのこと知ってる…?」
「うーん……………あっ!ほら、小さい頃だよ。確か、海辺の別荘で透と遊んでた子!」
「え……?」
海辺の別荘とはこの間行ったところだよね?
小さい頃透と、遊んでたの?
「優那が透と………?なら俺の記憶違いか……?」
「優那ちゃんが…………ね」
真や夕は呟く。
「………」
蒼空は黙ったまま。
「兄ちゃん、その記憶正しいの?」
「兄ちゃんが言うんだから間違いありません!」
「……そうか、ならやっぱりそうだったんだ。なんとなく俺も違和感というか、既視感というか……通りで初めて会った気がしなかったんだ」
「それが事実なら、葵くんの記憶力は凄いね」
「でしょー。俺は透に似て、頭はいいから!あ、違うな。透が俺に似たんだなっ!」
ははっ、と軽く笑いを上げる透のお兄さん。
「これでなんとなくわかったよ。最初に会った時のあの感覚は正しかったってことが」
「これは感動の再会というやつかい?なら、二人ともぎゅーっと抱き合うなりしてみたら?ほれほれー」
透のお兄さんが、透の背中をグイグイと押す。
「ちょ、兄ちゃんやめろよ」
「はい、ストップ」
それまで黙っていた蒼空が仲介する。
「ぶー、今いいとこなのにー。蒼空くんったら、もー」
「………いいところじゃない」
「はぁ…………いきなり来たと思ったらこれだよ。本当、葵兄ちゃんには困ったもんだ」
「でもさ透、今更気づいたの?って感じだよね。実の兄貴の俺を無視してまるで本当の兄妹みたいに仲良くしてたくせにさー」
「そ、それは……確信がなかっただけで………」
「あーあ。こんなに可愛い子のこと忘れて、この子も可哀想だなぁ~」
「う………」
透の眉がピクリと動く。
「ね、君は気づいてたんじゃない?」
「え、それは_____」
そんなこと聞かれても
答えが出ない。
「まさか、君も透のこと忘れてたの!?君が転んで膝をすりむいたとき、透が君をおんぶして必至に俺にすがりついてきたりしたのに!?」
「ええと……」
そんなこと、あったんだ。
「そうそう、突然君が居なくなった時も、透ったら泣きわめいちゃってさー」
「な、なにペラペラとしゃべってるんだよ!恥ずかしいだろう!?」
珍しく声を荒げる。
私が居なく、なった……?
ズキリと頭が痛くなった。
またこの感覚。
『優那ちゃん、今日は何して遊ぼうか』
『優那ちゃんは海が苦手なの?』
『ほら、泣かないで。僕がおんぶしてあげるから』
また……だ。