思い出してはいけないこと(仮)加筆修正進行中
蒼空の言動が不可解だ。
わかるのは、何かを知っていて、それを隠していること。
「ゆーなちゃんっ。あれ、そんな顔してどうしたの」
「へ?」
蒼空と入れ替わるように夕がやってきた。
「蒼空とすれ違ったんだけど、今の優那ちゃんみたいに険しい顔してたよ。何かあったんだよね?」
「少しだけ」
私は透とのこと、今さっきの出来事を夕に話した。
「……そんなことがあったんだ。蒼空、どうして隠してるんだろうね。優那ちゃんは知りたいんでしょう?それなら、話すべきだと思うけどなぁ。そんなに話したくないことなのかな」
「私にもわからないや」
蒼空は何を思って、口を瞑るのか。
「でもそんな一度にたくさんのこと言ったって、優那ちゃんの負担になっちゃうからね。今は、そんな暗い顔しないで、楽しもうよ」
「楽しむ?」
「うん!だって、今月末は体育祭なんだよ?」
体育祭、そういえばそろそろその時期だ。
「そうだね。まだ、何の種目に出るかはわからないけど、楽しめるといいな」
「うんうん!その意気だよ!」
「じゃあ私、課題やって来るから」
「後で僕にも教えてね~」
「夕は、自分で出来るでしょ。真の方が心配だよ」
「いやいや、真はただやらないだけだって」
「それがだめなんでしょう?」
「まあ、そうだね」
「私、真のところ行ってくる」
暗い気持ちを押し込め、下を向いていた顔を上に向けると、軽やかな足取りで部屋への道を歩いた。
「はぁ……僕もあんなこと言える立場じゃないよなぁ」