思い出してはいけないこと(仮)加筆修正進行中






次の日の朝、少し不安になりながらも蒼空の部屋を訪れた。







ノックをし、部屋に入ると、いつも通り布団にくるまって寝ている蒼空がいた。







「蒼空、朝だよ」






「んー」






「遅刻、しちゃうよ」






体を揺するけど、起きる気配はない。






「先、行っちゃうよ?」






「……だめ」






そういい、私の腕を掴むと、むくりと起き上った。






髪は寝癖だらけで、目もまだパッチリとは開いていない。






相変わらず眠そうだなぁ……。






「着替えたらちゃんと降りてきて。二度寝はダメだからね」






「ん」





また寝てしまいそうな感じではあるけど、ひとまずこの場を離れよう。






しばらくして制服に着替えた蒼空が降りてきたので、皆で透の作った朝食を食べると、すぐに寮を出た。






「そういや、今日のHRって、なにやるんだ?クラス違うけどな」







「あぁ、体育祭の種目とか係り分担じゃないかな。3年も今日はHRあるみたいなんだよ」






「僕、楽なのがいいなぁ。あ、パン喰い競争とか」






パン喰い競争、あるんだ。






「パン喰い競争はほとんどの生徒が参加だろ」






「夕、障害物競争は……?最後に大きな飴玉食べられるよ?」






「えー、ヤダよ。飴玉取るために、小麦粉に顔を突っ込むなんて」






「あの種目って、なんでか毎年クラスで目立つ人がやらされるよね」





透が、あははと笑う。






「俺らだって特別寮に入ってるから目立つのに、なんでかやらされないよな」







「ああ、確かに!ま、やれって言われても僕はやらないけどね」







きっとそれは、その綺麗な顔を小麦粉まみれにさせたくないからだと思うけれど。







もし、4人の顔が小麦粉だらけになったらと想像すると、笑ってしまいそうになる。







「あー優那ちゃん、今、僕達の顔が小麦粉だらけになったの想像してたでしょ」






「そ、そんなことない」






「嘘だー。完全に顔に出てたけど~?」



ツンと人差し指で頬を突かれる。



いけない、いけない。





「お前、前よりわかりやすくなったよな」






「そう?」



自分じゃわからないものだ。




「俺は、そういう方が好きだけど」






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