思い出してはいけないこと(仮)加筆修正進行中





HR、透が言っていた通り体育祭の種目決めや係り分担であった。





学級委員の山城くんともう一人の生徒が黒板の前に立つと、話が始まった。





「ではまず、係り分担をしたいと思います。委員会生徒は勿論、各自仕事があります。その他の生徒の中から、雑務係を4人決めたいと思います」





あいにく、私は委員会に入っていない。




雑務係……あからさまに嫌な仕事だということがわかる。





私はじっと息をひそめていた。





その結果、なんとか雑務係にはならずに済んだ。





「次に、種目決めを行います。黒板の書かれた種目を決めたいと思います。」





リレーや団体演技を除く、個人種目が書かれている。





「なお、リレーはこちらで既に決めています。男子は、綾瀬くん、水無月くん、葉山くん、西崎くん、鈴木くんの5名です。」





「また僕~?去年も走らされたような気がするんだけど……」




嫌そうな夕。




「……」




蒼空はまた寝ていた。




その後、やりたい種目に挙手をし、人数がオーバーした場合はじゃんけんで決めるなどとして、1時間は終わった。





「優那ちゃんは、借り物競争?」




やりたくない種目になった人は結構いるみたいで、一番楽な種目になれた私は運がいい。





「うん。楽なので良かった」





「いいなあ。僕はリレーだよ?はぁ………蒼空は呑気で良いよね」




休み時間になっても、まだ机に伏せたまま起き上らない。





「夕、去年も走ったの?」





「そうだよ。ちなみに蒼空もね」





「二人とも速いんだ」




わざわざ指名されるくらいだ。




それなりに足は速いんだろう。





「まあね。でも、総合的には蒼空に負けるよ。蒼空は勉強もできて運動もできて、本当凄いよね」





「蒼空が全力疾走してる姿とか想像できない」





いつもスローペースな蒼空が全力疾走で走る姿なんて、誰も想像できないだろう。





「去年の体育祭で蒼空が走る姿を見て、ファンみたいのが一層増えたんだよね。うわあ、今年はもっと凄そう」






ちょっと走る気無くすかも、と夕は言う。







蒼空が走る姿、気にならなくもない。







去年とは違う体育祭が、今年は待っていそうだ。






と言っても、私にとってはどれも去年とは全く違うことだらけなのだけど。






< 93 / 128 >

この作品をシェア

pagetop