思い出してはいけないこと(仮)加筆修正進行中







東軍、西軍、それぞれの応援団たちが前に出ると、各カラーテントから黄色い歓声が一気に上がった。







東軍の応援団長は、3年生の………名前は分からないが、視聴覚室に男子を率いてやって来ていた人。







西軍の応援団長は、透だ。








まさかと目を見張るが、あれは間違いなく透だ。







その少し後ろには、真もいる。







二人が、西軍だということは知っていたものの、まさか応援団に選ばれていたとは。







……でも確かに、東軍で空と夕の二人が選ばれるんだから、西軍だって必然的に透と真は選出するだろう。







だって、あの4人は目立つんだから。







次の瞬間、団長の掛け声が響いた。






始まったのだ。






西軍も、衣装は学ランだが、きちっとボタンを閉め、白い手袋もしている。






一方東軍は、ボタンを全開、さらにはシャツを着ないという、大胆な格好だ。






珍しく、透が大きな声を出している。






真も、少々めんどくさそうには見えるが、それなりに頑張っているようだ。






蒼空も夕も、いつもと違って真剣な眼差しだ。







一番ギャップがあるのは蒼空かもしれないけれど。







「ねえねえ、綾瀬くん、いつもの眠気全開でマイペースな感じもいいけど、あんな風に頑張ってる姿もかっこいいね!」






「うんうん、分かる!普段とのギャップがいい!好きになっちゃいそう」






「って、あんたはもう好きなんでしょ」







「えへへ」







「早く告白しちゃいなさいよ」







「む、無理だよ~。だって………あ」







たまたま、隣にいたクラスメイトがそう言った。






けれど、ふと私に気づくとその話を止めた。







やっぱり、皆あの4人の事が好きなんだなぁ。







でも、その中に居る私って、正直邪魔に思われているんだろうな。






なんだか複雑な気分だ。






そんなことを心の片隅で思いつつも、私は応援を見ていた。
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