オセロガールの計算違い
オセロガールの計算違い
あせっていた。
わたしはあせっていた。
2回言うくらいあせっていた。
高校に入学して3ヶ月。

何も起こらない。
いやいや、むしろ予定外のことは起こってしまった。
視線に気付いたのか、彼が振り向いてぎこちない笑みを浮かべた。
彼は、いわゆる地味男。
背ばっかりひょろっと高くて、ボサボサの髪に分厚い黒メガネ。
今の笑顔(?)にも誰も気付かないような存在感の薄いコ。長瀬はじめという名前さえ、なんか名前負けしてる感じ。
だいたいがチャラいコの中で、それは目立っていいはずなのに何故か埋没してる。
でも、それは私も同じ。
黒くて多いめの髪と同じく大きめのメガネの見た目から、存在感の薄さまで。
小さな頃から名前のさとみで呼ばれてたのに、高校では「青井さん」なんて呼ばれてる。あんまり話し掛けられないからそれさえ、少ないけど。
でも、それはわたしの計画通りといえば計画通り。
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