羽ばたけなくて
目の前の新聞紙が手際よくたたまれ、

お父さんの顔が姿を見せる。

平日とは違うお父さんの雰囲気に戸惑いながらも、

私はお母さんへ視線を合わせる。

「大丈夫だって、私に任せて。

 お母さん達はちゃんと祝福してきて。」

私の言葉にお母さんはにこりと微笑む。

いつの間にかお母さんの隣に来ていたお父さんが、

2人分の荷物をすっと手にする。

何も言わずに自然とお母さんを支える

お父さんのさりげない仕草が

私はたまらなく好きだ。

「じゃあ羽衣、ヨウ。行ってくるぞ。」

「いってきます。」

そう言って背を向けた両親の姿に私とヨウは手を振った。

「行ってらっしゃい。」

「行ってらっしゃい! お父さん! お母さん!」

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