羽ばたけなくて
「おはよ。」

もうすでにリビングに揃っている家族に

軽く声を掛ける。

そこに広がるいつもの風景に、

それまで気を張っていた私の心がすうっと落ち着く。

緊張することなんて何もない。

本当の自分に戻るだけなんだから。

「おはよー、お姉ちゃん。」

ニッコリと幸せそうな笑顔を見せながら

ヨウが返してくれる。

私が微笑みながら小さく頷くと、

「今日雨だから、

 お姉ちゃん気を付けて学校に行ってね。」

とヨウは私を気遣う言葉をかけてくれる。

その優しさに私は朝から心が満たされる。

「ありがと。ヨウも、気を付けて学校行ってね。」

私の言葉にヨウは「うん」と元気よく頷いた。

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