羽ばたけなくて
お母さんはそれ以上何も言わず、

「だったらいいのよ」と洗い物をし始める。

新聞紙の向こうから軽く咳払いする音が聞こえる。

家族の前でも、美園たちの前でも、

素の私のままでいられるように今日、

一歩を踏み出そう。

今まで怖がって出せないでいた大切な一歩を。

私はアイスミルクを飲み干すと、

「じゃ、いってきます。」

と言い、颯爽とリビングのドアを開けた。


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