羽ばたけなくて
想い
今日で1学期が終わる。

3ヶ月ほど前、

初めての環境に緊張でドキドキしていたにもかかわらず、

今ではすっかりこの学校にも

クラスメイト達にも慣れていた。

ただ、一つだけ変わったことがある。

私たち4人の関係だ。

表面上は今までとなんら変わりないのだけれど、

美園の笑顔は輝きを失ってどこかぎこちないし、

大志もテンションを上げてはいるが

空元気な感じが伝わってくる。

そして雅也と私は、

やっぱり必要最低限のことしか言葉を交わさない。

だから余計、美園と大志の不自然な姿が際立ってしまう。

「ねぇ、羽衣。いつ羽衣ん家に遊びに行っていい?」

美園が微笑みながら訊く。

私は美園の顔を見ながら、

あれから執事の新堂さんと

どうなったのか考えを巡らせていた。

< 239 / 401 >

この作品をシェア

pagetop