羽ばたけなくて
頭にかぶっていたタオルを首にかけ、

私はふうっと息を深く吐きながら

ソファに身を預けた。

ちゃんと美園は新堂さんに話せているのだろうか。

新堂さんもまた、

美園の話に耳を傾けてくれているだろうか。

目の前でキャッキャとじゃれ合う

芸能人の姿が映っているけれど、

今の私にはテレビの内容なんて全く入ってこない。

楽しそうに笑う芸能人の声だけが

私の中を素早く通り抜ける。

そんな時だった。

ソファの前にあるテーブルの上に置いてある

私の携帯電話から、

メールの着信を知らせる音楽が鳴り響いた。

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