羽ばたけなくて
それに、私自身、ずっと隠し続けてきた可愛い弟ヨウを、

美園たちに堂々と紹介できることが何より嬉しい。

私は早速、

ダイニングテーブルでくつろいでいる両親へと

視線を送る。

「ねぇ、お父さん。お母さん。」

私の呼び掛けにお父さんは読んでいる新聞を

ほんの少しだけ動かした。

「なに、羽衣。」

お茶を一口飲んだ後、

お母さんが優しい声を掛けてくれる。

私はソファから身を乗り出すようにしながら、

「今度の8月1日。

 美園たちが家に遊びに来たいって言うんだけど、

 呼んじゃダメかな。」

と、探りながら問いかけてみた。

するとお母さんはふんわりと微笑みながら、

「あら、美園ちゃんって高校のお友達よね。

 私は大歓迎よ。

 だって、羽衣がお友達を招待するだなんて

 初めてじゃない。」

と跳ねるような声で言った。

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