羽ばたけなくて
送信ボタンを押した指が震える。

私はてっきり大志の様子を

メールで教えてくれるものだと思っていた。

それが、まさか会うことになるなんて……。

みるみるうちに全身が熱を帯びてくる。

携帯電話を握り締めたまま待つこと数分。

雅也からの返信を知らせる着信音が部屋に鳴り響いた。

はやる気持ちを抑えるように、

呼吸を整えてから確認ボタンを押す。


title:no title

from:三上 雅也

text:もうすぐ羽衣ん家に着くから、そこで待ってて。


もうすぐ私の家に着く?

あらかじめOKすることが決まっていたかという

雅也の行動に、

私は驚きを隠せない。

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