羽ばたけなくて
綺麗な茜色に染まった空の下、3人並んで歩く。

時折吹く風が

夏の日差しで火照った体に心地いい。

特に何するわけでもなく、

ただただゆっくりと帰り道を歩く。

少しだけ寂しい気がするのは私だけだろうか。

隣を歩く雅也を横目で見る。

いつもと変わらないその姿に、

私の胸がキュンとなる。

高鳴る鼓動がばれないように、

どうにか平静を装いながら歩く。

空の色がいつの間にか夜の藍と混ざり合い始めた。

「じゃ、私あっちだから。また明日ねー。」

にっこりと微笑みながら

美園が私たちに向かって声を掛ける。

私も美園につられるように笑いながら、

「うん、明日ね。」

と返した。

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