羽ばたけなくて
確かに、

新聞紙の横には朝ご飯がそのままの形で残っている。

ただコーヒーだけは飲んでいったのだろう。

その跡がカップにうっすらと残っていた。

私はアイスミルクを一気に飲み干すと、

すっと立ち上がり洗面台へ行き

身支度を念入りに整える。

今日はこれから雅也と一緒に登校するんだ。

やっぱり少しは……可愛くみられたい。

「よし。」

鏡の中の自分にそう声をかけると、

私はリビングへと顔を向け、

「じゃ、行ってきます。」

と大きな声をかけてから玄関のドアを開けた。

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