羽ばたけなくて
久し振りに着た夏服が、ひらひらと風になびく。

そのふんわりとした柔らかな風がくすぐったく

思わず笑みがこぼれる。

きっと風のせいだけではないんだけれど。

私は足取り軽く学校へと向かって歩く。

通学路の途中にある、『CANDY』を目指して。

学校まで残り数分のところにあるお店が見えた時、

私の胸がどくんと大きく反応した。

昨日のメールの通り、

雅也が店の前に立っている姿が目に入ってきた。

嬉しさがぐっとこみ上げてきた私は、

思わず雅也の元へと走り始めた。

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