羽ばたけなくて
「雅也、おはよ。」

息が上がった私を不思議な目で見つめながら、

雅也は「あぁ」と軽く返事をした。

やっぱり雅也の制服姿はかっこいい。

私服姿も素敵だったけれど、

私は断然、制服姿が好きだ。

雅也は私と視線を合わせると

顎を横へ動かしてから学校へと歩き始めた。

私も置いて行かれないように雅也の後に続く。

なんで今日、

雅也から一緒に登校しようと声をかけてくれたのだろう。

ずっと思っていた疑問を投げかけようと口を開いた時、

横から落ち着いた声がすうっと落ちてきた。

「あいつらのことなんだけどさ。」

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