羽ばたけなくて
あいつら―――。

きっと美園と大志のことだ。

私は小さな声で「うん」と頷くと、

雅也は言葉を続けた。

「昨日の昼くらいに、大志からメールが来たんだ。」

「大志から、メール?」

私は確認するように繰り返すと、雅也は小さく頷いた。

「大志が言うに、

 美園からメールが1通だけ届いたんだってさ。」

「美園から?」

あれから気にはなっていたけれど、

私から美園にメールを送らなかった。

きっと何か心の変化があったら、

その時メールが来るだろうと思ったから。

でも美園は同性の私にではなく、

大志にメールを送っていたのだ。

美園の中で心の整理がついたのだろうか。

私が眉間にシワを寄せながら考えをめぐらせていると、

雅也は淡々とさらに言葉を続けた。

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