羽ばたけなくて
大志の叫びに、

新堂さんは怯む様子もなく不気味に微笑んでいる。

それでもずっと閉まっていた大志の叫びはおさまらない。

「お前や美園の親父たちは何考えてんだよ。

 美園の幸せを、一度も考えたことないのか?

 美園だって1人の人間だ。

 感情があるんだ。……好きになるヤツだっている。

 なのに、お前らは美園を

 “仕事の道具”としてしか見てねーじゃねーか!」

まくし立てるように早口に言うと、

大志はもっと鋭く新堂さんを睨みつけた。

しばしの沈黙。

ただ、

視線では大志と新堂さんのやり取りが続いてるようで、

両者、一歩も引かず視線を向け続けている。

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