羽ばたけなくて
美園のお父さんと直接話す―――

あまりに突然のことに大志の顔は青ざめ、

血の気を失っている。

それはそうだろう。

何回か顔を合わせたことがある人だとはいえ、

話す内容の重さに

大きな不安が重くのしかかってくるはずだ。

そんな大志の気持ちを察したのか、

新堂さんは大志の肩を軽く叩くと、

「大丈夫です。私と、美園お嬢様が大志さんの側にいます。」

と優しく諭すように言った。

大志が呼吸を整えながらこくんと頷くと、

新堂さんは私たちをぐるりと見てからすっと一礼した。

「では放課後、お迎えにあがります。……失礼致します。」

そう言い、新堂さんは屋上を後にした。

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