羽ばたけなくて
家族揃っての夕食を食べ終え、

私は早々に2階へ上がってきた。

悪気がないとはいえ、

今はヨウと顔を合わせる気分ではない。

そんな私たちの気持ちを察知したのか、

お母さんはあえて何も言わずそっとしてくれた。

お父さんもまた関心がない素振りをしてくれた。

そんな両親に感謝しつつも

私はみんなが揃うリビングを後にした。


真っ暗な部屋に入った瞬間、

机の方がピカピカと青白い光が点滅しているのに気付く。

携帯電話のメール着信だ。

部屋の電気をつけると、

私は光を放つ携帯電話へと向かう。

こんな時間に一体誰からだろう。

美園かな。

きっと大志と遊び終わって

その報告でもしてくれたのかもしれない。

大志とのラブラブっぷりがたっぷり書いてあるに違いない。

そう思いながら手に取った携帯電話を開いた瞬間、

私の鼓動がどくんと大きな音を立てて暴れ始める。

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