羽ばたけなくて
こんな夜遅くに、それもヨウも一緒に呼び出すなんて、

雅也は今、一体何を考えているのだろうか。

ひっそりとした、

頼りない街灯が点々とともる公園へと入る。

昼間の子ども達のキラキラとした声が

嘘のようにしんと静まり返っている。

「そこのベンチ、座るか。」

そう言いながら雅也は

街灯が少しだけ照らされているベンチを指差した。

「うん……」

私を真ん中にして両脇に雅也とヨウが座る。

しばしの沈黙。

秋の虫の音が公園内に響き渡る。

その音が私の胸の中でだんだんと大きくなり、

心をかき乱し始める。

この沈黙をどうしよう。

思考回路が上手く機能しない私の頭で

一生懸命考えを巡らせていると、

ふと隣から一つ大きな息を吐く音が聞こえた。

「俺の……、心の中にある気持ちを羽衣に話そうと思う。」

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