羽ばたけなくて
雅也の……心の中の、気持ち?

唐突に言われ、私の心のざわめきが一層激しさを増す。

雅也の気持ち―――。

訊きたいけれど、やっぱり怖い。

一番知りたい部分だけれど、それを訊いてしまったら、

私が私でなくなってしまうような気がする。

でも、雅也は今、私に打ち明けようとしている。

私は小さく頷くと唇をきゅっと噛み締めた。

そんな私の表情を確認したのか、

雅也は静かに話し始める。

「瑞谷学園に入学した時、羽衣や美園、大志と出逢って、

 俺の中で何かが変わり始めたんだ。

 俺、それまで

 誰かと行動を共にすることなんて全くなかったし、

 むしろ、面倒だと思っていた。

 でも、羽衣たちと出逢って毎日を過ごしているうちに、

 それが当たり前で自然なことになっていったんだ。」

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